2016年04月20日

成年後見人として

成年後見人として、ご本人が亡くなった後に、いわゆる死後の事務に関与せざるを得ないことがあります。

成年後見は被後見人の死亡が絶対的な終了事由とされておりますので、被後見人が亡くなると、成年後見人としてこれまでに有していた財産管理権や代理権はなくなってしまいます。
そのため、ご本人が亡くなった場合、相続人やご親族の方々に急いで連絡をとり、死亡診断書の取得、役所への届出、遺体搬出から葬儀の手配、入居施設や病院の未払いとなっている費用の支払など、色々な対応をお願いするのが通常です。

但し、ご本人に身寄りがない場合やご親族に対応を断られてしまった場合には、いままでの成年後見人が事実上対応せざるを得ません。これまで窓口となっていた後見人が、ご本人が亡くなった途端、「法的な権限も義務もないので何も出来ません」、「身寄りもないのでどうしようもありません」と言ったとしても理解は得られないでしょうし、そのような対応をしていたら身寄りのない人を受け入れてくれる施設や病院も少なくなってしまいます。

元成年後見人が死後事務にどの程度関与できるのか、すべきなのかという議論の他に、成年後見人にてこれらの事務の対応を行なった場合、それに要する費用は誰がどのように負担するのか(ご本人の財産から支出してよいのか、後見人が個人で立て替えなければならないのか等々)という問題もありますが、こうした問題についての明確な答えはなく、裁判所、行政等の関係各所とその都度相談しながら進めていっているというのが実情だと思います。

先週、私もこのような場面に遭遇することとなり、色々と悩みつつも裁判所や行政の担当者に助言を仰ぎながら一つ一つ対応しました。

法律の明文で定められていない以上、こうした死後の事務への対応はケースバイケースにならざるを得ないのは仕方がないかもしれません。但し、ご高齢の方が多くなって後見制度の利用率も増え、後見人として弁護士や司法書士等、専門職の後見人が就任することも多くなっている現状においては、成年後見人による死後事務への関与という場面も多くのケースで生じるとも思います。この辺りについてきちんとした法整備、制度化がなされると、元成年後見人としても悩むことなく迅速な対応が可能になり、関係者の方々にもご迷惑をおかけしないですむようになるのではないかなと思いつつ、この件に関して言えば、ご本人の生前より、多くの方々にご助力いただけて本当に有り難かったと感謝しています。

(弁護士天野正男)
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