先日、身分証明書を落としました。
この身分証明書は、弁護士法8条の弁護士名簿に登録されていることを、日弁連が証明して発行してくれる写真入りのカードです。
以前はお財布に入れていたのですが、数年前から横浜地裁・横浜家裁の中に入るには所持品検査が必要になり、スマホケースのポケットに身分証明書を入れるようになりました。空港の保安検査場にあるようなアレが裁判所の入口にあるのですが、弁護士など関係者は身分証明書(または弁護士バッジ)を見せれば、所持品検査を受けずに中に入ることができるのです。
そして、スマホケースから出し入れしているうちにポケットが広がってきて、最近は身分証明書が飛び出し気味になっていました。別の場所にしまわなきゃと思いつつ、便利なのでついついそのままに。その結果、身分証明書をどこかに落としてしまったのです。
夜、自宅に帰って身分証明書がないことに気づいたときは血の気が引きました。
紛失した弁護士バッジが悪用されたりネットオークションにかけられていたり、という情報に接することもあるので、身分証明書も写真を差し替えられて悪用されたらマズイという心配が真っ先に頭に浮かびました。
帰りの電車の中ではスマホケースに入っていたので(飛び出していたので押し込んだ記憶がありました)、駅から自宅へ帰る途中で落としたに違いないと思い、帰ってきた道を駅まで戻りましたがありません。駅員さんに届けられていないか確認してもらっても、まだ届けられていないとのこと。
翌朝に忘れ物問い合わせセンターに電話するようメモをもらって帰りましたが、あ〜、日弁連に紛失届ださないとなぁ、始末書書くのかなぁ、などと暗い気持ちで帰途につきました。
そして翌日、事務所へ行くと、私の身分証明書を拾ったという男性から、留守番電話にメッセージが入っていました。おおぉぉぉぉぉっ!と歓喜したことは言うまでもありません。ご丁寧に事務所にご郵送くださるということで、心待ちにしていたところ、昨日無事に手元に戻ってきました。
本当にありがとうございました。
コロナ禍にあって何かとトゲトゲしがちな昨今ですが、人のやさしさに触れてとても嬉しい気持ちになりました。もちろん、身分証明書はスマホケースではなくお財布にしまいました!
*あんまりいらない豆知識*
弁護士バッジの裏には各弁護士の登録番号が刻印されています。
バッジを紛失した場合には、弁護士名簿にその旨が記載されるだけでなく、官報公告もしなければなりません。そして、バッジを再発行する際には、番号の横に再交付の旨と回数が分かるような刻印がなされます。
私はまだ経験がありませんが(今後もないことを祈ります)、弁護士バッジの裏に「3」の数字がある猛者を見たことがあります。
(弁護士 天野康代)
2016年07月10日
事務所開設して3年目に入りました
事務所を開設して2年が過ぎました。順調に事務所を運営して来られたのは、皆様のご支援のおかげかと思います。今後もよりよいサービスをご提供できるよう事務所一丸となって努力して参りますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
気が付けば弁護士になって10年目。右も左も分からないまま弁護士業務をスタートしてから、今まで、ホントあっという間だったなぁというのが実感です。ということは、あっという間に歳をとったということにもなるのか・・。
2周年のお祝いのお花をいただいたので、事務所内に飾らせてもらいました。ありがとうございました。
(弁護士天野正男)
気が付けば弁護士になって10年目。右も左も分からないまま弁護士業務をスタートしてから、今まで、ホントあっという間だったなぁというのが実感です。ということは、あっという間に歳をとったということにもなるのか・・。
2周年のお祝いのお花をいただいたので、事務所内に飾らせてもらいました。ありがとうございました。
(弁護士天野正男)
posted by kouhokusogo-lawoffice at 13:56| 弁護士業務
2016年04月20日
成年後見人として
成年後見人として、ご本人が亡くなった後に、いわゆる死後の事務に関与せざるを得ないことがあります。
成年後見は被後見人の死亡が絶対的な終了事由とされておりますので、被後見人が亡くなると、成年後見人としてこれまでに有していた財産管理権や代理権はなくなってしまいます。
そのため、ご本人が亡くなった場合、相続人やご親族の方々に急いで連絡をとり、死亡診断書の取得、役所への届出、遺体搬出から葬儀の手配、入居施設や病院の未払いとなっている費用の支払など、色々な対応をお願いするのが通常です。
但し、ご本人に身寄りがない場合やご親族に対応を断られてしまった場合には、いままでの成年後見人が事実上対応せざるを得ません。これまで窓口となっていた後見人が、ご本人が亡くなった途端、「法的な権限も義務もないので何も出来ません」、「身寄りもないのでどうしようもありません」と言ったとしても理解は得られないでしょうし、そのような対応をしていたら身寄りのない人を受け入れてくれる施設や病院も少なくなってしまいます。
元成年後見人が死後事務にどの程度関与できるのか、すべきなのかという議論の他に、成年後見人にてこれらの事務の対応を行なった場合、それに要する費用は誰がどのように負担するのか(ご本人の財産から支出してよいのか、後見人が個人で立て替えなければならないのか等々)という問題もありますが、こうした問題についての明確な答えはなく、裁判所、行政等の関係各所とその都度相談しながら進めていっているというのが実情だと思います。
先週、私もこのような場面に遭遇することとなり、色々と悩みつつも裁判所や行政の担当者に助言を仰ぎながら一つ一つ対応しました。
法律の明文で定められていない以上、こうした死後の事務への対応はケースバイケースにならざるを得ないのは仕方がないかもしれません。但し、ご高齢の方が多くなって後見制度の利用率も増え、後見人として弁護士や司法書士等、専門職の後見人が就任することも多くなっている現状においては、成年後見人による死後事務への関与という場面も多くのケースで生じるとも思います。この辺りについてきちんとした法整備、制度化がなされると、元成年後見人としても悩むことなく迅速な対応が可能になり、関係者の方々にもご迷惑をおかけしないですむようになるのではないかなと思いつつ、この件に関して言えば、ご本人の生前より、多くの方々にご助力いただけて本当に有り難かったと感謝しています。
(弁護士天野正男)
成年後見は被後見人の死亡が絶対的な終了事由とされておりますので、被後見人が亡くなると、成年後見人としてこれまでに有していた財産管理権や代理権はなくなってしまいます。
そのため、ご本人が亡くなった場合、相続人やご親族の方々に急いで連絡をとり、死亡診断書の取得、役所への届出、遺体搬出から葬儀の手配、入居施設や病院の未払いとなっている費用の支払など、色々な対応をお願いするのが通常です。
但し、ご本人に身寄りがない場合やご親族に対応を断られてしまった場合には、いままでの成年後見人が事実上対応せざるを得ません。これまで窓口となっていた後見人が、ご本人が亡くなった途端、「法的な権限も義務もないので何も出来ません」、「身寄りもないのでどうしようもありません」と言ったとしても理解は得られないでしょうし、そのような対応をしていたら身寄りのない人を受け入れてくれる施設や病院も少なくなってしまいます。
元成年後見人が死後事務にどの程度関与できるのか、すべきなのかという議論の他に、成年後見人にてこれらの事務の対応を行なった場合、それに要する費用は誰がどのように負担するのか(ご本人の財産から支出してよいのか、後見人が個人で立て替えなければならないのか等々)という問題もありますが、こうした問題についての明確な答えはなく、裁判所、行政等の関係各所とその都度相談しながら進めていっているというのが実情だと思います。
先週、私もこのような場面に遭遇することとなり、色々と悩みつつも裁判所や行政の担当者に助言を仰ぎながら一つ一つ対応しました。
法律の明文で定められていない以上、こうした死後の事務への対応はケースバイケースにならざるを得ないのは仕方がないかもしれません。但し、ご高齢の方が多くなって後見制度の利用率も増え、後見人として弁護士や司法書士等、専門職の後見人が就任することも多くなっている現状においては、成年後見人による死後事務への関与という場面も多くのケースで生じるとも思います。この辺りについてきちんとした法整備、制度化がなされると、元成年後見人としても悩むことなく迅速な対応が可能になり、関係者の方々にもご迷惑をおかけしないですむようになるのではないかなと思いつつ、この件に関して言えば、ご本人の生前より、多くの方々にご助力いただけて本当に有り難かったと感謝しています。
(弁護士天野正男)
posted by kouhokusogo-lawoffice at 19:21| 弁護士業務
2015年10月11日
振り返り
横浜弁護士会では、交通事故による高次脳機能障害相談をおこなっています。
この法律相談は、交通事故相談の中でも専門性が高いため、
相談を担当するには一定の要件を満たす必要があります。
要件の一つとして、研修(経験者の事例報告から事案処理の追体験をする)があります。
私は、高次脳機能障害相談の立ち上げ時から関わっていたこともあり、
先日、この研修の担当者として事例発表をおこないました。
今年終結した事案を素材にしたので(もちろん事案が特定されるような事項は
記載も口頭説明でもしません)、準備自体はさほど大変ではなかったのですが、
自分の事案処理を振り返る良い機会となりました。
いつ、何をしたか。
どのタイミングで、どこに行って、誰と面談をしたのか。
そして、誰に、何を言った(指示した)のか。
良い解決が得られるように、いつも一生懸命頑張っていますが、
改めて自分がおこなったことを整理すると改善点が見えてきます。
今回は、自分の事案処理について、振り返りの良い機会となりました。
(弁護士 天野康代)
この法律相談は、交通事故相談の中でも専門性が高いため、
相談を担当するには一定の要件を満たす必要があります。
要件の一つとして、研修(経験者の事例報告から事案処理の追体験をする)があります。
私は、高次脳機能障害相談の立ち上げ時から関わっていたこともあり、
先日、この研修の担当者として事例発表をおこないました。
今年終結した事案を素材にしたので(もちろん事案が特定されるような事項は
記載も口頭説明でもしません)、準備自体はさほど大変ではなかったのですが、
自分の事案処理を振り返る良い機会となりました。
いつ、何をしたか。
どのタイミングで、どこに行って、誰と面談をしたのか。
そして、誰に、何を言った(指示した)のか。
良い解決が得られるように、いつも一生懸命頑張っていますが、
改めて自分がおこなったことを整理すると改善点が見えてきます。
今回は、自分の事案処理について、振り返りの良い機会となりました。
(弁護士 天野康代)
posted by kouhokusogo-lawoffice at 10:23| 弁護士業務
2015年08月16日
止まった時間、見えない怖さ
私は福島原発被害者支援かながわ弁護団員として活動していますが、
先日、訴訟準備の一環として現地調査へ行ってきました。
福島県では、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、南相馬市、田村市に立ち寄りました。
それぞれの場所で、被害者の方々の話を聞いたり、
家屋の中に入って空き巣や小動物に荒らされている様子を見てきました。
中には、明らかに大きな獣に荒らされたと思われるところもありました。
居住制限区域は特別な許可がなくても日中の立ち入りができますが、
見かけたのは除染作業をしている方々くらいでした。
スポーツが盛んだったと思われる高校の校門には、
色々な運動部が全国大会などで活躍したことを祝う看板がたてられていましたが、
全て「平成22年度」となっていて、時間が止まったままであることを実感し、
切ない気持ちになりました。
あちこちに積まれている、放射性廃棄物の入ったフレコンバックの山々は本当に異様な光景でした。
帰還困難区域は立ち入りが制限されていますので、スクリーニング場で手続きをしてから入ります。
誰もいない町。音もしない町。
地震で倒壊した家屋が、4年以上前の姿のままであちこちに存在しています。
今回の現地調査では、避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域の
それぞれに該当する場所に立ち寄りましたが、このような区域割りには合理性がないように思いました。
放射線は目に見えません。空気と同じです。
例えば、ある場所で規制線がはられ、その線から右は帰還困難区域、左は居住制限区域、
と分けられているわけですが、本当にその線で明確に分けられるのでしょうか。
見えないということがいかに怖いか、改めて感じました。
(弁護士天野康代)
先日、訴訟準備の一環として現地調査へ行ってきました。
福島県では、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、南相馬市、田村市に立ち寄りました。
それぞれの場所で、被害者の方々の話を聞いたり、
家屋の中に入って空き巣や小動物に荒らされている様子を見てきました。
中には、明らかに大きな獣に荒らされたと思われるところもありました。
居住制限区域は特別な許可がなくても日中の立ち入りができますが、
見かけたのは除染作業をしている方々くらいでした。
スポーツが盛んだったと思われる高校の校門には、
色々な運動部が全国大会などで活躍したことを祝う看板がたてられていましたが、
全て「平成22年度」となっていて、時間が止まったままであることを実感し、
切ない気持ちになりました。
あちこちに積まれている、放射性廃棄物の入ったフレコンバックの山々は本当に異様な光景でした。
帰還困難区域は立ち入りが制限されていますので、スクリーニング場で手続きをしてから入ります。
誰もいない町。音もしない町。
地震で倒壊した家屋が、4年以上前の姿のままであちこちに存在しています。
今回の現地調査では、避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域の
それぞれに該当する場所に立ち寄りましたが、このような区域割りには合理性がないように思いました。
放射線は目に見えません。空気と同じです。
例えば、ある場所で規制線がはられ、その線から右は帰還困難区域、左は居住制限区域、
と分けられているわけですが、本当にその線で明確に分けられるのでしょうか。
見えないということがいかに怖いか、改めて感じました。
(弁護士天野康代)
posted by kouhokusogo-lawoffice at 16:52| 弁護士業務